熱と温度、どちらも生活でよく使う言葉ですが、その違いをはっきり説明するのは難しいです。難しいところを努力して説明してくれ、熱学の基礎を築いてくれたのは、1728年から1799年に生きたブラックです。
ブラックは、天秤を用いた定量分析的な方法で二酸化炭素を発見しました。そこで、彼は用いた定量的な方法を、熱学でも用いようとしました。温度の異なる水と水銀を混ぜたところで、初めの水と水銀の温度の中央値を示さない、という報告を見たブラックは、好奇心を刺激され、温度計を使い、その報告よりも精密に実験をやり直しました。その結果、報告は正しいと分かり、彼はその事実を、水と水銀では持っている熱の量、つまり熱容量が違う、と仮説を立てました。
そして、ブラックは、今、用語として用いられている潜熱というものこそが、熱と温度をすっぱりと区別するものだ、と説明しました。今日、熱学で用いられている、熱容量や潜熱という用語は、ブラックのおかげで作られたようなものです。ブラックの功績により、熱の物質説は沢山の支持を得て、後世の研究者によってさらに洗練されていきました。